軽配送ドライバーを営む方を悩ませるものの一つ「腰痛」
荷物を持ち上げたり、腰をかがめたりといった日常動作だけでなく、長時間座って運転する負荷が蓄積し、痛みとなって表面化します。

職業病ともいわれる腰痛は軽配送業と切っても切ることができません。

上手に付き合っていくためには対策が必要です。

今回は軽配送ドライバーを悩ませる「腰痛」について解説いたします。

腰痛は軽配送ドライバーの職業病!?

主に腰回りの痛みやハリ等の症状を総称したものが腰痛とされています。

長時間の運転や荷物の運搬作業は腰痛の原因となり、軽配送ドライバーにとって腰痛は立派な職業病と化しています。

まずは、腰痛の発生メカニズムとともに各発生割合についてご説明いたします。

腰痛が発生するメカニズム

前屈の動きや重荷を持ち上げる動きは背筋を一つの方向に使うので、筋・筋膜および筋と骨の付着部分に大きな負担がかかります。

併せて椎間板内圧の上昇、姿勢や動きなどの外的要因とも相まって発生するとされています。

一方で、前述のような「脊椎の損傷」とは別に、身の回りを取り巻く環境的要因からもたらされるストレスや疲労、生活に対する満足感等も腰痛には深く関与するといわれています。

腰痛発生割合

腰痛発生割合を〈職業〉〈時間帯〉〈年齢経験〉別にご紹介いたします。

職業別発生割合

軽配送ドライバーを含む運輸交通業は保険衛生業、商業・金融・広告業、製造業等を含む全職業のうち、5番目に多くの割合を占めています。

時間帯別発生割合

午前8時から12時の時間帯に腰痛を発症させることが多く、また月曜日に多く発症する事例も報告されています。

年齢経験別発生割合

全産業従事者と比較すると、運輸交通業は20代での腰痛発生割合が低くなっています。

それに対して30歳以上での発生割合は、全産業従事者に比べ高くなることが明らかになっています。

なぜ腰痛になるのか

シート

シートが体に合わないと、正しい姿勢がキープできず腰痛を引き起こします。

単に座っているだけであっても、シートの素材によっては体に負荷がかかるので、無意識のうちに筋力や体力を消耗しています。

腰痛防止のためにも正しい姿勢を保持できるシートを選びましょう。

姿勢の悪さ

運転中、無意識のうちに姿勢を崩してしまうことや、姿勢の癖が出ることがあります。

崩れた姿勢を長時間とることで血行不良を起こし、腰痛が発生します。

また、シート調節の際に楽をしようと背もたれを倒しすぎると、シートと腰の間に隙間ができて腰が支えられず、かえって負担をかける原因になってしまいます。

そのほか腰痛に関連する要因

ほかにも腰痛には3つの要因が考えられます。

動作要因

腰に過度の負担や負荷が加わることで腰痛の原因になります。

軽配送ドライバーに腰痛が多い理由として、重い荷物の運搬や荷物を持つ際に深く腰を曲げる・捻る動作などが挙げられます。

時間に追われているせいで正しい姿勢で荷物を持つことができないなどの理由によって動作的要因が生まれやすくなっています。

環境要因

体の冷えや振動、不適切な作業空間といった外的要因です。

軽配送ドライバーの場合、「作業場が狭くて作業しづらい」、「荷物の運搬で頻繁に階段の昇り降りが必要」、「運転中の振動」などが挙げられます。

個人的な要因

ほかにも「女性なので重たい物を運ぶことが苦手」、「高齢で長時間の作業が辛い」、「腰痛が慢性化している」など、環境や動作に関係なく原因が個人に由来する場合に該当します。

厚生労働省が発表する腰痛予防対策の基本的な考え方

重量物取り扱い作業

重量物を扱う場合は1人で作業しないことが原則となっています。

複数人での協力のほか、作業環境によっては機材などを使うことも対策になります。

ただし重量物には具体的に〇kgからといった制限がないので、最初は負担を感じなくても長時間作業を繰り返すうちに痛みを伴うことがあります。

企業によっては重量物を10kg程度に限度にしていることもありますが、10kgの荷物を何度も運ぶのは非常に負担が大きいと思われます。

できるだけ台車などを利用するようにしましょう。

長時間の車両運転等の作業

シートを見直す

シート選びのコツは3つあります。

①座面が滑りにくい素材であること
滑りにくいことで姿勢の維持に無駄な力が不要になる。

②芯が潰れにくいこと
芯が潰れにくいことで体をしっかり支えられるようになるので、疲れにくくなる。

③快適なクッション性があること
座席と体の密着性が上がることで長時間運転の負担が減る。

正しい姿勢を維持する

シートやヘッドレスト、ハンドルの位置を調整することで操作がしやすくなるだけでなく、視界が広くなり運転が快適になります。

腰の左右に体重が偏らないように意識することで、腰痛を起こりにくくすることができます。

普段から意識して姿勢をキープできるようにしましょう。

疲れにくい姿勢は「肩が背もたれにくっついており、ハンドルを握ったときに肘が少し曲がる状態」です。

この姿勢を維持できるようにシートなどを調整してください。

まとめ

腰痛は軽配送ドライバーにとって非常に悩ましい問題です。

長く仕事を続けるためにも、腰痛対策は必須といえます。

今はまだ腰痛がなくても、今後悩まされないように所作を意識しましょう。

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